「石井さん、アメリカに行きませんか?」との、突然の提案でした。
私はそれまでにも、秋田県道川海岸で多くのハイパーロッケットを打ち上げていましたが、敷地の狭さに悩んでいました。
皆さんご存の通り、秋田県での打ち上げは海に向かって打ち上げる為、高く上がる機体になればなるほど、機体の回収
率が低くなってしまうのです。それが、今回は周囲50KM何も無い砂漠での打ち上げです。当然、「行こうよ!」と返事して
いました。心の中では「でかいハイパーロケットを打ち上げたい!」と思いながら。I型までの打ち上げは経験はありますが、
海岸打ち上げの為、どうしても、ウィンドコックしてしまい、思うような打ち上げが行えず悔しい思いをしていました。ところが、
アメリカでは50KM四方、何も無い打ち上げエリアが広がっているのです。何を遠慮する事があるのでしょう?思いっきり打
ち上げてきました。エンジンケースを事前に日本国内で取寄せて行きましたが、現地に行って大きさが合わず、慌てると言
った一面もありました。エンジンはJ型を使用しました。J型のリローダブルエンジンです。シングルユースのハイパーは使っ
た事がありましたが、リローダブルは初めての経験です。打ち上げ時に、イグナイターが点火せず2回失敗してしまいました。
翌日は場内アナウンスも発射ボタンも押させてもらったのですが、点火と共に、真っ青な砂漠の空に一筋の線が描かれてい
く。たまりません!久々に、風と重力に逆らって、大空に長い航跡を描いてきました。皆さんも、「アメリカ遠征」如何ですか?
私は今年も行こうと考えています。おおらかに、そして思いっきり、風と重力に逆らってみませんか?
元日本大学理工学部宇宙航空研究会
会長
武蔵野ロケット倶楽部
石井 亮
http://www.oshiba.com/mrc/